杉工場 | 折りたたみイス国産帆布とVULCANIZED CLOTH
使い続けた先の姿も楽しみな椅子

リビングではソファでくつろぐ時のオットマンになったり、ソファ横につけるとサイドテーブルに。玄関に置いておけば靴を履く時に助かるスツールになり、来客時にはサブ椅子として活躍。そんなふうに家のあちこちで役立つ、使い道いろいろな折りたたみ式のスツールです。

製造を行っているのは、福岡県うきは市の〈杉工場〉。うきは市は昔から林業・製材業の盛んな地域で、〈杉工場〉も創業は古く、なんと明治中期から家具製作を行っている老舗メーカーです。

《折りたたみイス》はアウトドアっぽいデザインにも見えますが、杉工場の方に聞いたお話によると、原型になっているのは杉工場が近所の神社から依頼されて製作した胡床（こしょう・神社で使用される伝統的な折りたたみ椅子）なのだとか。それを基に脚のデザインやサイズを調整し、今の形になったのだそうです。

折りたたむと幅6.5cm程度までコンパクトになるので、リビングのちょっとした隙間や玄関にたたんだ状態で立てかけておいて、必要な時だけ開いて使ったりということも。重さは約1.5kg。非常に軽いので持ち運びや開閉作業も楽にできます。

スツールやオットマン、サイドテーブルとしての使い道のほか、いちいちしまうのは面倒くさい、通勤で毎日使うかばんの置き場所にしたり、クローゼットやハンガーラックのそばで服の仮置きに使ったり、そういう用途にも。持ち運びが簡単ということもあって、一つあると何かと便利です。

座面の生地はホワイト、オリーブの2種類。 ホワイト色の座面部分に採用されているのは、川島商事株式会社の国産帆布生地「富士金梅」。現在はもう生産されていない旧式のシャトル織機で綿密に編みこまれた、とっても丈夫な生地です。はじめはパリッと硬い感触ですが、使ううちにくったりと柔らかくなっていきます。

オリーブ色は特別な仕様で、福岡県久留米市の老舗靴メーカー〈MOONSTAR〉で作られている「VULCANIZED CLOTH」が使用されています。ハードダックと呼ばれる高密度で織られた堅牢な平織生地（帆布に似ているけど厳密には違うらしい）にゴム糊をコーティングし、窯に入れて焼いて仕上げる、強度が高く撥水性も備えた生地です。

VULCANIZED CLOTHはデニムのようにエイジングを楽しめる生地でもあり、擦れやシワによって白っぽい跡（チョークマーク）が表面に付きます。最初はちょっと気になるかもしれませんが、使い込むうちにだんだんと馴染んでいき、味わいに変わっていきます。なので、あまり気にせずしばらく使ってみてもらえたらと思います。

木部はYチェアなど北欧家具でもよく使われるビーチ材。わずかに赤みがかった薄い黄色で、経年変化で徐々に濃く、深みのある色合いに変化していくのが特徴です。塗装等は施されておらず、木そのままの手触りや風合いが残る仕上がり。また、木フレーム同士を留めている金具は真鍮製。マイナスネジというところがまた良く、細かなパーツひとつまで美意識を感じます。

こうしてみていくと、座面に使われている帆布やVULCANIZED CLOTHも、無塗装のビーチ材も、真鍮のネジも、すべて経年変化がしっかりとある素材や仕上げ。届いた瞬間がピークではなく、長く付き合っていくうちに魅力が磨かれていく、そんな、使い続けた先の姿も楽しみな仕様になっています。

このこだわり仕様、用途の広さで1万円切るスツールって他に無い気もしますし、コスパもすごくいいのでは。これに使う、と予め決めていなくてもどこかしらで役立つようなアイテムですので、気に入ったらぜひ気軽に取り入れてみてもらえたらと思います。

仕様

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